この記事を読んでほしい人
- 治験バイトに興味があるけど一体どんなものなのか知りたい
- 勉強したいことや作業が膨大にあり、作業をしながら稼げるバイトを探している
この記事を読めばわかること
- 治験とはいったい何なのか、そのメリットとデメリットが分かる。
- 治験でどれくらい稼げるのかが分かる
- 実際の治験生活の様子が分かる
こんにちは!会計士トモヤです。
私は公認会計士を目指した際、それまで勤めていた会社を辞めて勉強に専念しました。
その理由は、絶対にストレートで合格したかったからです。
会社を辞めた当初は、会計士試験合格までの期間を働いていた頃の貯金を取り崩して乗り切ろうとしていました。
しかし減る一方の預金残高を見て精神的に削られまして、また合格までの間に貯金が尽きる可能性があったため、お金を稼ぐことにしました。
勉強する時間を確保しつつ、それなりに生活費の足しになるお金が得られるもの。
そんな都合のよい稼ぎ口を探していた時に見つけたのが、いわゆる「治験バイト」でした。
私は延べ1年半で5回の治験に参加し、合計80万円ほど稼ぎました。
今回は私の体験談から、「治験って何なの?」「治験でぶっちゃけどれくらい稼げるの?」「身体おかしくならなかった?」という点について、実際に参加したからこそ伝えられる情報を皆様に提供したいと思います。
※本記事は治験への参加を推奨するものではありません。治験には当然リスクがあります。リスクがあるからこそ対価が得られます。参加される場合はリスクについて十分に理解し、自己の判断で参加の是非を検討してください。
治験とは?
治験とは
治験については、治験モニター募集サイトのjcvnのホームページに下記のような説明があります。
治験とは、新しい「くすり」が国の承認を得るために安全性や有効性を確認するために行う臨床試験のことです。
薬は”良くも悪くも身体に影響を及ぼすもの”です、どんな薬を使おうがその取扱に確実な安全はありません。
その為に、国が認めた厳しい基準をクリアした薬でないと処方や販売が行なえません。
その厳しい基準の1つが治験、もともとは「治療の臨床試験」の略であるそうです。
一言で言ってしまえば、開発中の薬を服用し、そのリスクを負ったこと及び拘束時間の対価としてお金がもらえる、というバイトです。
なお、治験はその段階によって「第Ⅰ相試験」「第Ⅱ相試験」「第Ⅲ相試験」の3段階に分かれます。
通常、「治験バイト」と言ったときには「第Ⅰ相試験」(健康体の人に対して行う治験)を指すのではないかなと思います。
治験の全体像について興味がある方はこちらのホームぺージに詳しく書いてありますので、ご興味のある方はご覧ください。
治験で稼ぐとはどういうことか?
皆さんはアルバイトをしたことはあるでしょうか?
私は大学時代カラオケでバイトをしていました。
深夜に7時間ほどシフトに入っており、時給約1,300円だったので一晩で9,100円ほど稼いでいました。
一方で、これを見ている皆さんは治験をやったことがない人がほとんどだと思いますので、
という疑問を持っている人がいるかと思います。
先ほどからイメージしやすくするために「治験バイト」という表現をしていますが、実際にはアルバイトではありません。
「バイト」といった表現は、本来利益や経営の拡大を目的とした無期雇用での労働を指しますが、治験に参加する被験者は本人の自由意志に基づき参加するため、有償ボランティア(治験ボランティア)として区別する必要があります。
そのため治験参加によって得る対価は「給与」ではなく「負担軽減費」と呼ばれます。
しかしながら、この負担軽減費もその金額は下記の通り時給で決まります。
負担軽減費(謝礼金)の相場
全国平均の最低賃金が930円(※2021年時点)とされているので、930円×24時間とすると一泊あたり約20,000円を目安に想定されています。
ですので、結局のところ拘束時間×時給で対価が発生するという点では、バイトの様なもの、と考えてもらって差し支えありません。
上記の相場を参考にすると、実際の負担軽減費の総額は下記のようになると考えられます。
- 3泊4日×2→12万円
- 4泊5日×2→16万円
- 5泊6日×2→20万円
私の経験と照らし合わせても、違和感のない水準です。
日程を確保できるのであれば当然一撃で高額がもらえる案件の方が良いですので、なるべく長期の案件を狙っていきたいところです。
治験のメリットとデメリット
他のアルバイトと比較した場合に、治験のメリットとデメリットは次の通りです。
メリット① 自由に使える時間が多い
治験の最大のメリットです。一般的なバイトは、例えば時給1,000円で3時間働いたら3,000円もらえる訳ですが、その3時間は働きっぱなしですよね。休憩室でマンガを読んでいたら店長に怒られるわけです。
一方で治験の場合、例えば1泊2日の入院の場合、時給1,000円と仮定して24時間滞在したら当然24,000円もらえますが、その24時間ずっと何かの作業を強制されるわけではありません。
もちろん病院から出ることは出来ませんが、食事中も就寝中も、採血の合間の時間にPCで作業したり勉強したりマンガを読む時間にも時給が発生します。
まさに「寝ながら稼ぐ」というわけです。
メリット②健康的な生活を送れる/痩せる
治験中、臨床試験の観点から決められた食事以外は一切摂取することが出来ず、持ち込みも出来ません。
そして食事もヘルシーな病院食です。
また起床時間も就寝時間も決まっているため、夜更かしが出来ません。
強制的に早寝早起きの生活になります。
結果として、非常に健康的な生活を送ることが出来ますし、余分なカロリーを摂取出来ないため痩せます。
メリット③間接的に自分の健康状態を知ることが出来る
治験に参加する際、事前の健康診断というものがあります。
この健康診断で一定の基準を満たした参加者の中から、実際の試験に進める被験者が選ばれます。
先ほどお話ししたように、多くの治験は「第Ⅰ相試験」すなわち健康体の人を対象として行われますので、本試験に参加できるということは健康であるということが分かります。
なお基本的に健康診断の具体的な結果を教えてもらうことは出来ません。
誤解の無いように補足しますが、適切な治験運営の観点から健康診断目的での治験参加は絶対にNGです。
デメリット①身体に何らかの異変が起こる可能性がある
治験最大のリスクは、「開発中の薬を服用すること」です。
もちろん事前に様々な検証を行われた上でヒト試験に移るわけですが、そもそも薬というのは人体に少なからず影響するものです。
ましてや開発中の薬であり、他でもない自分の身体でその効果を検証するということになりますから、何が起こっても不思議ではないわけです。
日本でも実際に2019年、治験を原因とした死亡事故が発生しています。
被験者Aは退院日当日に自主的に再来院。入院観察期間中に幻視、幻聴、不眠
があったことを訴えた。医療機関側は、被験者の受け答えがはっきりしており、容態が
安定していたこと等から経過観察を決断したが、翌日朝、警察から被験者Aが電柱から
飛び降りて死亡したことが伝えられた。治験薬と被験者Aで生じた有害事象との因果関係は否定できない。
実はこの事件が報道されたのが、ちょうど私が参加していた治験の入院2期目の初日でした。
食堂のテレビで被験者全員でこのニュースを見てその場が凍り付いたことを今でも覚えています。。
また、死亡とはいかないまでも、副作用が生じるということはあります。
ただ実体験として、私は5回の治験に参加しましたが、治験参加を原因とした症状というのは今のところ発現していません。
この点、副作用については薬の種類や体質等様々な要因があると思いますので、最終的には個々人の判断、ということになります。
デメリット②採血のために複数回注射する
最初に言っておきますと、「注射が嫌い」な方は治験参加は難しいです。
具体的には後述しますが、入院中は結構な回数の採血があります。
これは、血液中の薬の成分を調べたり、体の状態を確認する目的で行われます。
デメリット③「休薬期間」は治験に参加できない
これを見ている人の中には
と考えている人もいるかもしれません(いないか…)。
しかしそれは現実的には不可能です。
なぜかというと、治験には「休薬期間」というものが設けられているからです。
「休薬期間」というのは、今回の治験が終了してから「休薬期間」が終わらないと次回の治験に参加できない、というものです。
これは、前回の治験で飲んだ薬の成分が体内に残っていたりするとその成分が何等かの影響を及ぼして、次の治験において正確なデータが取れなくなるためです。
そして休薬期間は結構長く、私の経験上は大体3,4ヶ月でした。
ですのでどれだけ頑張っても、年間3回程度しか治験には参加できません。
そして1回の治験でもらえるお金は、案件にもよりますが20万円あれば良い方だと思います。
1回あたり20万円で年3回参加する場合でも、単純計算で60万円/年になりますから、さすがにこれでは生活できませんね。
ちなみに世の中には休薬期間を設定していない「闇治験」というものが存在するそうです(検索してはいけません)
デメリット④事前の検査で落とされる可能性があるため、スケジュールが立てにくい
メリット③で説明したように、「第Ⅰ相治験」においては健康状態が良好でなければ参加できません。そのため事前の健康診断において何らかの疾病が見つかったり、数値が基準値を外れている場合は不合格になってしまいます。
また、事前の健診では問題無くても、治験参加の初日の検査で不合格になるケースもあります。
このような事態に備えて治験にはいわゆる「補欠」も数人用意されています。
治験初日の検査で不合格者が出た場合は補欠が本試験に参加しますが、一方で誰も不合格にならなかった場合は補欠が初日に帰らされることになります。
薬を飲まずに帰らされた場合は当然休薬期間はありませんが、治験の申し込みから入院初日までの期間は1か月弱はあるので大きなタイムロスになります。
治験の流れ
治験の流れとしては大まかには下記のとおりです。
一つずつ説明していきます。
- モニター募集サイトに登録
- 参加したい案件に参加希望を提出する
- 事前の健康診断を受ける
- (合格したら)本試験に参加する
- (滞りなく完了したら)負担軽減費をもらう
モニター募集サイトに登録参加したい案件に参加希望を提出する
治験(第Ⅰ相試験)においては、モニター募集サイト上で申し込みをすることが一般的です。
現在は下記サイトが大きなシェアを占めているようです。
治験モニター募集【生活向上WEB】 (seikatsu-kojo.jp)
治験モニター募集サイト【ぺいるーと】|国内最大級の治験情報サイト (pa-ruit.jp)
【公式】治験ジャパン | 業界最大級の治験のモニター募集情報が満載 (chiken-japan.co.jp)
上記サイトであればどれを選んでも大差は無いと思います。
私は複数のサイトに登録していましたが、JCVNが最も使い勝手が良かったので気に入ってよく使っていました。
モニターサイトに登録すると、下記のような詳細情報を見ることが出来ます。
私も良く参加していたタイプの治験です。
※「坊主頭にしていただける方」という条件は全ての治験にあるわけではありません。上記案件が恐らく頭髪関係の薬であるため特別に条件として加えられたものと考えられます。
モニターサイトには数多くの案件がありますので、その中で気になった案件があれば、参加ボタンを押すことで、申し込みをすることが出来ます。
注意点としては、申し込みの時点で健診日だけではなく入院も含めた全日程を空けておきましょう。
適切な治験運営にも支障をきたしますし、何よりせっかく健診に合格しても本試験に参加できなければ謝礼金をもらうことが出来ません。
事前の健康診断を受ける
申し込みの際には健康診断の希望日時を入力します。
そして希望した日時に指定場所へ行き、健康診断を受診します。
内容としては、尿検査や採血、各種の測定など、一般的な健診と同じです。
なお、私が参加した時は健診の受診後に「交通費」という形で手渡しで5,000円をもらいました。
本試験に参加する
健診の結果、無事本試験に進めることとなった場合には、入院となります。
上記の詳細情報をご覧になると分かると思いますが、入院を伴う治験においては2回の入院期間があります。
これは、治験においては一般に実験の対象としている薬の他に、もう一つ別の薬を飲むことになるためです。
この「別の薬」のことを専門用語で「プラセボ」と言いまして、治験においてプラセボを用いる意義は下記の通りとなります。
人の体は不思議で、薬としての効果のないものでも、薬と信じて服用すると、その安心感から自然治癒力を引き出すことがあります。このような効果を「プラセボ効果」といいます。この「プラセボ効果」と「薬の候補」の効果を、公正かつ客観的に区別するために使われる偽薬のことをプラセボと言います。 治験では、有効成分を含まず、外見や味などで「薬の候補」と区別がつかないプラセボを用いて「薬の候補」と比較することがあります。
また、入院中の様子については事項で詳しく説明していきたいと思います。
負担軽減費を受け取る
治験で最も重要なプロセスと言ってよいでしょう。
何のために治験に参加するかって、お金のためです。
入院を伴う負担軽減費は必ずしも一括で支払われるわけではありません。
参加する治験によって差はあると思いますが、私の場合、下記の通りで渡されていました。
- 第1期退院時:総額の約1~2割
- 第2期退院時:総額の約2~3割
- 試験完了後:残り全額
第2期退院時から全額の振り込みを受けるまでの期間は、これも差があると思いますが、大体1か月はかからなかったと思います。
ただ、謝礼金を何らかの支払いに充てたいという場合、第2期退院時に全額もらえる訳ではないという点は注意しておいた方がよいでしょう。
入院中の生活について
スケジュール感
私が実際に参加した治験でのスケジュール感は下記の通りとなります。
初日 | 2日目 | 3日目、4日目 | 5日目 |
・昼過ぎくらいに病院に集合 ・入院前検査の実施 ・就寝まで自由時間 | ・起床後、留置針を取り付ける ・朝9時頃、試験薬を服用する。その後昼過ぎくらいまではベッドに拘束。 ・服用から5分後、最初の採血を実施 ・以降、決められた時間に採血 ・昼過ぎくらいに拘束が解かれる。以降は自由に動ける。 ・夕方くらいに留置針が外される | ・朝昼晩に採血 ・それ以外は自由時間 | ・起床後に採血 ・特段の問題が無ければそのまま退院 ・謝礼金の一部を現金手渡しされる |
就寝時間は大体10時で起床時間が7時だったと記憶しています。
2点注目してほしいことがあります。
自由時間が長い
まず1点目に自由時間がめちゃくちゃ長いということです。
3日目、4日目はほぼ終日自由であり、初日と二日目も半日くらい自由になります。
終日自由時間の日については、1日当たり8時間くらい勉強していました。
自由時間の過ごし方については病院によって様々あると思いますが、病院には休憩室の様なスペースが用意されていることが多いです。
よくあるのは、食堂を休憩室として使えるパターンです。
イスも机もありますので、勉強や作業をするためには十分な環境です。
また暇つぶし用品も多数用意されていまして、マンガはもちろん、ボードゲームもありますしテレビも観れます。
何回目かの治験の時、参加者同士ですごい仲良くなりまして、一日中麻雀を打っていたことがありました(笑)
結構いろんな参加者がいるので、機会があれば話をするのも面白いと思います。
私の他にも一日中勉強をしている人がいて、聞いてみるとその方は司法書士の受験生でした。
1日中好きなだけ勉強が出来て、お金がもらえるという、チート級のバイトですね。
財政難を抱えて難関資格を目指している方には、手段の一つとして是非知ってほしいと思っています。
2日目はかなりキツイ
2点目に、2日目はかなりきついということです。
上記のスケジュール表を見ると、2日目の情報量がとんでもないことになっていますね。
入院2日目は、治験薬を服用する日です。
上述のデメリット②でお話ししたように、治験では結構な数の採血がありまして、その大半は2日目に実施されます(大体1日で20回くらいは採血されます、鷲巣麻雀のアカギ並みですね)。
この点、毎回注射針を刺して採血をすると血管に負担が掛かってしまうため、「留置針」という管を血管に差し込んで置き、その管から血を抜きます。
留置針による採血は、採血時にはそれほど痛みはないのが大きなメリットです。
ただ一方で、採血以外の時間にもずっと腕に管が刺さっているため、違和感が続くというデメリットもあります。
また、服用後数時間は移動も制限されます。
スケジュールには「拘束」と書きましたが、なにもベッドにロープで括りつけられるわけではありません。
ただ、服用後4-5時間くらいは、基本的にはベッドから動けませんし、「臥位(寝た状態)」と「座位(座った状態)」を指定されます。
そのためこの時間帯は作業するのは難しいと思います。
ベッドに付いている机で出来なくはないですが、頻繁に採血があるため集中できませんし、姿勢を指定されるので身体的にもきついです。
この時間帯は本やマンガ等で気を紛らわせて時間が過ぎるのを待つといった感じですね。
その他の入院生活のあれこれ
シャワーについて
私が通っていた病院のシャワーや洗面所については、私の中ではマンガ喫茶のカスタマカフェみたいなイメージです。
シャワールームがいくつかあり、洗面台も複数ありました。
ドライヤーも付いていて、タオルも借りることが出来ますし、特段の不便はなかったですね。
洗濯について
3泊4日の場合は特に無かったですが、5泊6日の治験を受けた際は途中で1回洗濯をしてもらえるということがありました。
この時、看護師さんから「下着と靴下だけ」と言われていたのに私が全然話を聞いてなくて、ナップサックとかシャツもまとめて出してしまい、返却される時に看護師さんに怒られたのも良い思い出です(笑)
まとめ
今回の記事をまとめます
- 治験は難関試験受験生にとって魅力的な稼ぎ口
- 1日8時間勉強しながら日給2万円もらえる
- ただリスクも大きい
- 治験の説明をしっかり聞き、リスクを聞いたうえで最終的には自分で判断しよう
主に難関試験の受験という観点から、治験バイトについてご紹介しました。
正直そこまでお金に困ってないとか、どうしても試験に合格しなくてもよい、という方は治験バイトはしない方が良いでしょう。
万が一のことがあっては後悔することになります。
私の場合、20代後半で仕事を辞めて家族を抱えながらの受験勉強で、会計士試験に受からなければ家族が路頭に迷うという覚悟を持っていましたので、決死の思いで治験参加をしました。
「是非みんなで治験に参加しましょう!」という無責任なことは言えません。
私はたまたま何の後遺症も残っていませんが、実際に死亡事故も起きております。
受験生の皆様には様々な背景をお持ちの方がいると思いますので、一つの選択肢として知ってもらい、それぞれの状況で検討してもらえれば幸いです。
皆様の受験成功を心より祈っています!
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