第2回では、会社員の優遇措置について
2.健康保険に加入できる
3.給与所得控除が適用できる
4.退職金制度が受けられる(退職金制度がある企業の場合)
について解説します。
2.健康保険に加入できる
これも、退職手続きの流れ③で少し触れましたが、もう少し踏み込んで解説したいと思います。
公的医療保険には、健康保険と国民健康保険があり、
会社員は健康保険、自営業者や非正規雇用のフリーター等は国民健康保険に加入します。
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ここで一つ注意ですが、
公的年金と公的医療保険は、対象となる全ての国民は加入していなければなりません。
近年、消えた年金問題や、少子化で「自分が老人になった時には年金もらえないかも」、
ということを心配して年金を払いたくないという方もいらっしゃいます。
が、公的年金と公的医療保険の未納は違法です。
必ず支払いましょう。
支払わないと具体的にどうなるかまではここでは紹介しませんが、
国家権力で財産差し押さえられる可能性があります。
私は「空気をあえて読まない」「既成概念を壊す」「常識をくつがえす」
を信条としていますが、法律には従わなければいけません。
ただ、全ての法律が正しいとか、完璧だとは全く思いません。
時の政権の利己的な考えの元強行採決されるようなデタラメな法律もあります。
ですが、正しくても間違っていても、法律は法律なのです。
法律を守れないような人がビジネスをする上で大切な信頼を得ることは出来ませんよね。
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国民健康保険と健康保険における保険料の違い
国民健康保険の保険料は世帯ごとに徴収されるのですが、その額は
お住まいの市町村・前年の世帯所得・世帯人数によって変わります。
自分の場合を確認したい方は、「○○市 国民健康保険料」で検索してみましょう。
金額に関しては一概には言えませんので、次回の「モデルケース」で解説します。
一方の健康保険も、お勤めの企業が加入している健康保険組合/健康保険協会によって
それぞれ異なりますので、詳しくはご自分が加入している団体のHP等で確認することが出来ます。
私が勤めていた㈱ブタが加入していたブタ健康保険組合は、標準報酬月額を基準として
- 被保険者負担率:4.7%
- 事業者負担率:4.9%
となっています。
国民健康保険と健康保険における制度上の違い
健康保険と国民健康保険は、年金の場合と違って、
給付に関してはほとんど一緒ですが、異なるのは以下の2点です。
- 健康保険には扶養があるが、国民健康保険に扶養はない(世帯ごとの徴収だから)
- 国民健康保険には、一部手当金(傷病手当金、出産手当金)が無い
健康保険の傷病手当金、出産手当金の考え方は、
「ケガや病気、出産の為会社を休まなければならないときに、働けずに休んでいる間に給与の代わりに手当金を給付する」というものです。
「会社を休む」という概念のない自営業が加入する国民健康保険の場合はありません。
3.給与所得控除が適用できる
こちらは、会社員の為の「所得税、住民税の減税措置」です。
所得税、住民税それぞれについては別記事にて、詳しく説明する予定ですので、
今回は一部分だけお話しします。
会社員の皆さんは、毎月のお給料から「所得税」が差し引かれているのはご存知ですよね。
所得税というのは、消費税のように、国民が納めなければいけない税金の一種なのですが、
その税額はどのように決まるのでしょうか?
例えば、消費税で言うと、購入する商品の「本体価格」に対して「8%」掛かりますよね。
所得税の場合、この「本体価格」に代わるのが「所得」、「8%」に代わるのが、「累進課税税率」です。
累進課税税率については、次回の「モデルケース」にて解説します。
では、所得とは何でしょうか?
簡単に言うと、所得とは、「儲け」のことです。
商店をイメージしていただくと、
売上等の「収入」から仕入や経費等の「費用」を引いたものが「所得」です。
では、会社員の場合の所得はどうなるでしょうか?
会社員個人で考えると「売上」というものはありませんよね。
営業マンが月に100万円の商品を売り上げてもその金額は会社の売上なので、
営業マンの手元に入るわけではありません。
結論を言うと、会社員の収入は「給与(給料や賞与)」ということになります。
では、会社員に「費用」はあるのでしょうか?
例えば電車通勤している方は、定期代を払いますが、
その定期代は会社から支払われていると思いますので、費用にはあたりませんよね。
(ちなみにこの通勤費用は所得税が非課税です)
この、会社員の「費用」という概念に基づく税法上の優遇措置が、「給与所得控除」なのです。
「給与収入を得ている人は、所得税の計算において、この『給与所得控除』額を『給与』から差し引いてもいいよ♡」という決まりです。
よって、会社員の所得は、以下のようになります。
給与所得控除は、その年の給与に応じて増えていきますが、最低でも65万円は差し引いてよいということになっています。
給与所得控除の考え方は、例えば営業マンであれば仕事をする上でスーツや革靴が必要になったりする等、
給与所得を得る為に手出しした金額について、それは「費用」と見なしてあげよう、というものです。
そうは言っても、年間で65万円も使うことは無いですよね^^;
また、この「給与所得控除」は、所得税だけでなく住民税の減税にもなるのですが、
所得税と被る部分が多いのでここでは割愛します。
4.退職金制度が受けられる(退職金制度がある企業の場合)
退職金に関しては、お勤めの企業によって違うと思いますので簡単にしか触れません。
退職金とは、給与以外に、会社が会社員の為に積み立てをしてくれている金額なので、個人事業主には無い会社員のメリットと言えるでしょう。
私が勤めていた㈱ブタでは、「中退共」を採用しており、月々の積立金額は「8,000円」でした。すなわち、単純計算すると退職するときに「勤続月数×8,000円」が受け取れる仕組みです。
あなたが退職するときに退職金はいくらもらえるのか、というのは人生のプランニングにおいて非常に大切なことですので、
会社を辞める気がなくても一度確認しておくことをおすすめします。
以上、「会社員」と「個人事業主」を比較した時、
代表的な会社員の社会保障上、税制上の優遇項目を4つ解説しました。
説明が間延びしない様、具体例を入れておりませんので、
概念部分が多く、少し解りにくかったかと思います。
以上の事を踏まえて次回の「モデルケース」を用いて、
説明を省略した部分も組み込みながらなるべく解りやすく解説していきます。
次回へ続く→
コメント
[…] 給与所得控除の存在意義としては、会社を辞める前と後で必要なお金の違いまとめ 2/3でも簡単に触れたように、「サラリーマンの”みなし”費用」です。 […]