この記事を読んでほしい人
- 楽して稼げる方法を探しているけど、騙されるのは嫌だと思っている
- 詐欺っていったいどんな感じで行われるものなのか知りたい
この記事を読めばわかること
- 詐欺(ポンジスキーム)の手口が分かる
- 詐欺に遭わないための対応策が分かる
もう8年ほど前になりますが、私はいわゆる「オーナー商法」という詐欺により100万円を騙し取られました。そもそもなぜ詐欺に遭うことになったのか、具体的にどんな方法で詐欺に遭ったのか、騙し取られた後の経緯など、赤裸々にお話ししたいと思います。
軽い読み物程度の感覚で読んでもらえると幸いです。
ジアミストとの出会い
友人からの紹介で存在を知る
約8年前、仕事でなかなか成果が出ず、上司から毎日叱られて仕事が嫌になっていました。そのため楽してお金が欲しい、もう働かなくても一生暮らせるような不労所得が欲しいと思っていました。
そんな時に、当時一番仲の良かった友人から聞いたのが「ジアミスト」という商品でした。
なんでも、ある程度の初期投資をすると、その後は何もしなくても継続して権利収入が入り続けるとのこと。友人もジアミストの営業を受けたそうなのですが、当時は初期投資するだけのまとまったお金がなく、契約はしなかったそうです。
詳しく話を聞くことに
不労所得を探していた私は、渡りに船と思い早速担当者の連絡先を教えてもらい、最寄りの営業さんを紹介され、後日対面で話を聞くことになり居ました。
待ち合わせ場所は、関東近郊の某ターミナル駅前の喫茶店。
私は妻と一緒に待ち合わせ場所の喫茶店に先に入店し、担当者を待ちました。数分すると、まだ残暑が厳しいというのにきっちりとスーツを着た、20代くらいの爽やかな男性が来ました。
ドリンクを注文して席につき、ちょっとした世間話をしてから早速ビジネスについて話を聞くことになります。
オーナー商法ビジネスの全貌
ジアミストとは?
まずは商品について詳しく説明を受けました。会社の名前は「株式会社Soft-EX」といい、この会社は「ジアミスト」という商品を販売していました。
ジアミストとは、次亜塩素酸を空気中に噴霧して空気を除菌するというタイプの空気清浄機です。今でこそコロナ禍を経てこのタイプの空気清浄機は珍しくないですが、当時は他に類似品も少なく、その原理を聞いた私は画期的な商品だと思いました。
またそれだけでなく、この商品は多くのメディアにも紹介されており、全国ネットの有名番組にもCMを流しているということで、完全に信頼してしまったわけです。真面目に事業に取り組んでいるのであろうと。下記がSoft-EXの事業概要を紹介するパンフレットです。かなり綺麗に作りこまれています。
実際、今思い返してもこの商品というか商品設計自体は非常に優れたものではなかったのかと考えています。コロナ禍においても変わらず真面目に次亜塩素酸事業を続けていたら天下を取っていたのではないかと。
ジアミストにおけるビジネスモデル
ジアミストが優れていると言っても、私はこれを営業して売るという事業をするために話を聞きに来たわけではありません。それではただの労働になってしまいます。私は「不労所得」を得るために話を聞きに来たのです。
ジアミストは下記の様なビジネスモデルとなっていました。
- 株式会社Soft-EXの収益として、とにかく機材を普及させるためにジアミストの噴霧器については顧客に無料で提供し、カートリッジ(次亜塩素水)代で儲けるというビジネスモデル
- しかし立ち上げ間もない会社であり、機材にもそれなりのコストがかかるため機材コストをまかなう必要がある
- そこで、機材についてオーナー(所有者)を集め、一旦オーナーに機材を買い取ってもらう。その上で、オーナー所有のジアミストについてジアミスト本体及びカートリッジの販売事業を業務委託という形で行う
- その後オーナーに対して収益の一部を還元していくという権利収入の仕組みが用意されていた
オーナーと言っても名ばかりで、実際に手元にジアミストが来るわけではありません。あくまで法律上の所有権がオーナー名義に移転するのみで、現物はSoft-EXから購入者の元へ納品されます。
権利収入の内容として、具体的には機材は1台当たり2万円で、その後その約5%が毎月「協力金」という形で機材が使えなくなるまで支払われ続けるという仕組みとなっていました。つまり20か月ほど経てば元が取れる計算であり、その後は機材が壊れるまで手取りが増え続けるというものでした。
ただ最初にお金を払うだけで後は会社が勝手に事業をやってくれて、自分は何もせずに協力金の振り込みを受けるだけ。
とテンションが上がり、一旦は持ち帰り落ち着いて考えた後、「これはまたとないチャンスだ」と確信して10台買うことを決めました。
実際元手にはもう少し余裕があったのですが、さすがに私も全てを信頼していたわけではなく、一旦様子を見ようという感じでとりあえず20万くらいなら騙されたとしてもしょうがないか、くらいの気持ちでした。
下記が実際の契約書の内容となります。上が「売買契約書」、下が「業務委託契約書」です。
ちょっとわかりにくいですが、売買契約書は「甲」が会社(Soft-EX)、「乙」がオーナーです。業務委託契約書は「甲」がオーナー、「乙」が会社です。
契約後の経緯
待ちに待った協力金の振り込み
10台を購入したのが2016年9月、そして11月末に待ちに待った最初の協力金9,800円が支払われました。
本当に振り込まれるのか不安があったのですが、ここでその疑いがなくなり、信頼に変わりました。そして完全にこのビジネスを信頼した私はその後更に40台のジアミストを追加購入します。
そしてここから悪夢が始まります。
Soft-EXから届いたメール
私が40台追加購入して間もなく、会社から1通のメールが届きます。
この瞬間、嫌な予感が頭をよぎりました。「あまりにもタイミングが良すぎる。私が追加で購入して十分騙し取ったから、これでバイバイということなのか…?」と。
このメールが私宛に個別に送られたものかどうかは定かではありませんが、嫌な予感は的中し、結局この後協力金が支払われることはありませんでした。
結局のところ108万円ものお金を支払い、協力金として支払われたのはたった1回の9,800円だけ。正味107万円を騙し取られる結果となったのです。
解約・返金を申し出る
結果としては詐欺だったのですが、メールを受け取った当時の私は迷っていました。もしかしたら本当に何らかの事情で少し遅れているだけなのかもしれないと。せっかく手にした不労所得のチャンスを逃したら勿体ないという気持ちでした。
しかし結局1月末になっても協力金は支払われず、これは詐欺だとようやく確信した私は解約を申し出ました。
解約手続きは意外とすんなり進みました。私を勧誘してきた営業員に連絡し解約したい旨を伝えると、必要書類を送付され、めでたく解約となりました。解約後は下記の書類が送られてきました。
あーよかった、これで一旦は大丈夫そうだと思いました。協力金はもらえなくても、せめて元手だけでも取り戻せればプラマイゼロだなと。この書類を受け取った時までは安心していました。
いっこうに支払われない払戻し金
しかし、解約手続きは完了しているのにその後も全く支払いは行われませんでした。変わらず下記の様なメールが金太郎飴のように送られてくるだけです。
その後催告の内容証明を送りましたが焼け石に水であり、訴訟を起こそうにも私は会社員でしたし、そもそも訴訟費用も掛かるしどれだけ戻ってくるのかという疑念もあり、結局高い勉強料だったと割り切って泣き寝入りしました。
オーナー商法の全容をよくわかってもらえたかと思います。今でも本当に悔しいですが、詐欺に騙された私が悪いのです。私の様な人を出したくない、そのような思いで、ここからは詐欺に遭わないための方法をお話していきます。
この様な詐欺に遭わないために
ポンジスキームとは?
今回私が100万円を騙し取られた詐欺は、「オーナー商法」と言われるジャンルですが、それと同時に「ポンジスキーム」と呼ばれる手法になります。ポンジスキームについては下記をご覧ください。
投資詐欺の9割以上は「ポンジスキーム」と呼ばれる手法で行われています。
「ポンジ」とは、米国の詐欺師、チャールズ・ポンジから名付けられた言葉です。
ポンジスキームは、次のような仕組みになっています。
<1> 元本保証・無リスクをうたい、年10%や20%など高利回りの投資案件で出資者からお金を集める
<2> 運用する(というのは建前で、実際には運用しない)
<3> 後から参加する別の出資者から集めたお金の一部を着服する
<4> 残ったお金を以前の出資者に配当金と偽って横流しするポンジスキームでは、集めたお金を配当金と偽り、横流ししています。出資者が増えているうちは実際に配当がもらえるため、信用してしまうパターンも多いようです。
しかし、出資者が少なくなると、配当が滞り、やがて破綻します。破綻すれば、出資者のお金は戻ってきません。多くの場合、詐欺師とは音信不通になるため、泣き寝入りするケースも後を絶ちません。
ポンジスキームの巧妙なところは、お金を受け取ってもすぐには飛ばないという点です。これはなるべく多くの人をだますための手法なのです。例えばオレオレ詐欺の様な、案件ごとにターゲットを1人に絞って行う詐欺については、お金を受け取った瞬間に音信不通になります。
一方でポンジスキームの場合、例えば最初に騙された人がお金を振り込みすぐに音信不通になると、騙された人が「詐欺だ詐欺だ」と騒ぎ出します。ただでさえ怪しい投資話ですから、少しでも悪い噂が立つともう出資者は現れません。そうなっては困るので、最初の内は契約通りに配当金を支払うわけです。この配当金は本来の事業によるものではなく、基本的には「タコ足配当(元本からの配当)」です。つまり自分又は他人が支払ったお金の一部が戻ってきているだけなのです。
そうして徐々に出資者を集め、カモが増えて増えて…当初計画した水準までお金が集まったところで、忽然と消えるのです。
これは体験したからこそ言えますが、実際に配当金が支払われることの安心感はとても大きいです。いまでこそ、配当金も含めて詐欺の手法であることは分かりますが、何も知らない当時の私は心から信頼してしまっていました。
詐欺に遭わないための教訓
まず、これを心に深く刻んでください
世の中には、楽して稼げる儲け話なんて存在しない!
これに尽きます。
「楽して稼ぐ」これは誰もが一度は抱く願望ではないでしょうか。
満員電車に揺られて、顔も見たくない上司のいる会社へ出社し、精魂尽き果てるまで働かされ、ギリギリ生きていけるだけの給料をもらい…同じような生活を40年続ける。そんな生活を誰が望むというのでしょう?
お金さえあれば、嫌な仕事をしなくてもいいし、毎日食べたいものを食べて行きたいところに行って、遊んで暮らせるわけです。
だからこそ私は楽して稼ぎたいと思っていました。そんな人間の目の前に楽して稼げる儲け話がまるで釣り餌のように落ちてきたのですから、パクっと食いついてしまいました。
お金のない人はこう思う節があります。
実際、一部の人間にしか流れない情報というのはあります。優良不動産の情報などは最たるものです。そしてそのような情報は、信頼関係の上で成り立っているものであり、いきなり知らない人に有益な情報を流すということは無いのです。つまりお金もないし信頼関係も結んでいない人間に、いきなり飛び切りの投資話が舞い込んでくることは絶対に無いのです!!
私は当初、この投資話を
と調子に乗って捉えていました。そもそも本当に良い儲け話であれば、営業するまでもなくあっという間に枠がなくなってしまいます。不動産の例で言うと、本当に優良な物件は募集が始まった瞬間(場合によっては市場に出る前)に買い手が見つかってしまいます。逆に営業電話をしてまで売らなくてはならない物件に儲かる物件など一つも無いのです。全てゴミ物件なのです。
儲け話に出会ったとき、具体的にどうすればよいか?
結論から言うと、私がオススメしているかつ実際に行っている投資は、オルカン長期投資です。詳しくは下記記事をご覧ください。
金融投資については、これ以外やる必要は無いです。ですからこの先どんな儲け話が舞い込んで来ようと、1円もお金を払ってはいけません。繰り返しになりますがそもそも本当の儲け話は舞い込んでなどこないのです。
「楽にお金を稼ぎたい」という気持ちはとても分かりますが、現実にそのような甘い話は無いことを認識しましょう。私の100万円が皆様の資産を守ることに繋がれば私も少しは救われます(笑)
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